職員室の声

2学期終業式(神田)

2017-12-22

 皆さん、おはようございます。大掃除、大変ご苦労様でした。また、先ほど表彰式を行いましたが、いつものことながら今年の最後も皆さんの活躍を表彰することで締めくくることができ、本当に嬉しく思います。ところで、2学期も文化祭や修学旅行など、様々な行事がありましたが、皆さんの自覚と協力もあり、全ての行事が滞りなく終了できましたことに感謝したいと思います。

 

  さて、今日は、ずいぶん前に読んだ記事の中から二つの話を紹介したいと思いま す。まず、ある大手新聞の投書欄へ投稿された記事からです。  

 

 「冷え切った朝、手紙を出そうとポストへ向かった。ポストの前に、赤いバイク が止まっている。朝一番の集配は8時半頃。まだ時間はあるのにと思いながら近づ くと、年配の男性が私の手紙を受け取りながら、『集配時間より5分ほど早く着いて しまって、手紙を出しに来る人を待っているんですよ』と言う。『寒いのにご苦労さ んですねえ』と言いながら、良心的だなあと思った。5分待っても、果たして集配 時間に合わせて手紙を出しに来る人がいるかどうか分からない。また、5分早く集 めても、一般の人には分からない。電車と違って見切り発車をしても分からないの に、寒い中、待機していた集配の人、ご苦労様です。このような人たちが、郵便事 業の陰の力になっていることを知った朝でした。」という投書でした。  

 

 先々月、企業の倫理に関する話題が新聞紙上を賑わしたことがありました。大手 自動車メーカー2社が自動車の検査資格がない人に車の検査をさせていた件であり、 同じく大手鉄鋼会社が強度のデーターを改ざんしていたという件です。どちらの会社も日本を代表する企業であるわけですが、その企業が儲けることに一生懸命で、 お客さんのことを本当に考えているのか疑わしいという指摘でした。

 

 それと比べ今読んだ投書の内容を聞いて、皆さんはどんなことを感じたでしょうか。何もそこまでしなくてもと感じた人もいるかもしれませんし、あるいは、この郵便集配の人の仕事に対する誠実さ・真面目さというものを感じた人もいるかもしれませんが、私は、この記事を読んだ時、むしろ自分の仕事に対する「すごみ」を感じました。もしかしたら、この集配の人が寒い朝待っていたのは、お客さんのためだけではなく、自分の仕事に対する姿勢のためだったのかもしれないと考えたのです。仕事への取り組みが真面目に、そして誠実にというだけのレベルではまだまだ本物ではないような気がします。人が見ている、見ていないに関わらず、その先に、自分が生涯の職業として選んだ仕事に対する、或いは、この世の中に自分が存在している意味をかけた、妥協を許さない烈しさ、言い換えれば、意地とか、プライドとかいう言葉になるかもしれませんが、これが必要であり、その烈しさがあるような気がします。最近の新聞記事を読んだ時、ふとこの投書のことを思い出したので紹介しました。

 

 もう一つの記事は、ある雑誌に、知的発達障害を持つ子どもたちを教育する児童 施設の園長さんが書いていた文章です。

 

 「私の学園は重度の子が多く、太郎君も16歳になっていましたが、知的年齢は 3歳くらいでした。しかし、自分のことは何でもできるようになったので、担当の 先生は太郎君に、花に水をやる当番を与えました。『このジョウロの水は、お花の大 切なご飯だから毎日忘れずにやってね』と、毎日毎日、繰り返し教えました。ある 夏の大雨の日、ザーザー降りの中、傘をさして太郎君が水をやっている姿を見つけ、 『こんな日には・・・』と言おうと思って近づいたのですが、その言葉を飲み込み ました。太郎君にとっては、先生から言われたとおりに、自分がやる水と、大雨と は関係ないんだということに気づいたからです。じっと見ていると、一本一本の花 に、『ご飯持ってきたよ。さあ食べて』と、声をかけながらずぶ濡れになって一生懸 命やっているその姿に彼の美しさがキラキラ輝いていました。」という文章です。

 

 この文章を読みながら、私は、この16歳の、本来なら青年と言っていいような 子どもの「優しさ」に心を温かくしていたのですが、そのうちに、この知的発達障 害を持つ子どもが突きつけているものは、そんな表面的なことではないという気分 になってきました。何と表現していいのか、適当な言葉が見つからないのですが、 この話が問いかけているのは、日頃私たちが忘れがちであるもっと深い何かであるような気がしてならなかったのです。私たちは、少しばかりの知識を持っているか もしれませんが、この子が持っているような根源的な何かを置き忘れてしまったのではないかと思ってしまったのです。果たして、こういう言い方が合っているのかどうかは分かりませんが、自分は彼のように純粋な気持ちで、地道に、ひたむきに 一つのことに取り組んできたかということを、もう一度振り返ってみなければと思ってしまったのです。  

 

 以上、二つの話をしましたが、中学生の皆さんには少し難しい話になったかもし れません。しかし、君たちも、いずれ仕事に就くわけですので、将来就くであろう 仕事について、働くとはどういうことなのか、そして、生きるということはどうい うことなのかということを考えてもらいたいと思い、2学期の終業式の話に選びました。  

 

 さて、今年も残すところ、一週間余りとなりました。明後日がクリスマスイブで、 まもなく正月もやって来ますが、受験を間近に控えた高校3年生にとっては、クリ スマスや正月どころではないというのが本音だろうと思います。ただ、多くの先輩達もこれまでに一度は通ってきた道ですので、ここが正念場だと思って、それぞれ の目標に向けて、努力を継続してもらいたいと思います。もちろん中学生や高校1・2年生もダラけた生活にならないように、家の手伝いを始め、やるべきことをし っかりやって充実した冬休みにしてください。  

 

 なお、年末は世間も正月を迎える準備などで大変慌ただしくなりますので、くれ ぐれも事件・事故などに巻き込まれることがないように、そして、体調管理にも十 分気をつけて新しい年を迎えて欲しいと思います。  

 

 本日は、この後、吹奏楽部の定期演奏会が予定されていますが、文化祭の時に続 いて県のコンクールで金賞を取った実力のほどを聞かせてもらえるのではないかと 楽しみにしています。  

 

 終わりに、少し早いですが、新しい年が、皆さんや皆さんのご家族の皆様にとっ ても、輝かしい年になることを願って、終業式の式辞に代えたいと思います。

 

 

(校長代理 神田 芳文)